小さなバッグ

腰の痛みがなかなか治まらないので、軽いバッグを買った。
ふだんはいわゆる「A4サイズもOK」なバッグにしてる。大きいと何でも入るし、だんだん荷物が増える。便利だが、少しでも腰に負担がかからないほうがいいと思って。それで、近くの店でナイロン生地でストラップが幅広の小さいショルダーバッグを買った。買った直後に似たようなバッグを持っているお姉様(私よりだいぶ年長と思える)を見つけて「がーん」だったが、仕方ない。
ふだん持ち歩いてるあれこれをあきらめ、最低限のものにする。どうせバッグに入れてるものすべてを毎日使ってるわけでもなし。

で、そのバッグで通勤を始めたが、やっぱりというか、全然支障ない。もともと持ち歩く必要がないものを持っていたようだ。
まあ「A4サイズ」の紙類が入らないので必要なときは別の袋とか封筒を持たないといけないが。

それで思い出すのは「君をのせて」だ。「天空の城ラピュタ」の主題歌の。
私はラピュタは見ていないし、たぶん今後も見ないと思うが、この歌を聞いたときに思わず涙がぼろぼろこぼれた。

さあでかけよう ひときれのパン
ナイフ ランプ かばんにつめこんで

というところだ。メロディ的にもここでぐーんと盛り上がるのだが、私を泣かせたのはたぶん歌詞だと思う。バッグに最小限のものだけを持って出発するイメージ。

ダーリンはよく、こんなのはいらないのに・・・と家にある洋服ダンスを指して言ってた。春先にありがちな広告の「一人暮らし用品特集」なんかにある「ファンシーケース」程度でいいと思ってたみたいだ。それはわかる。私もひとり用の簡素な電化製品や家具を見ると、いいなと思ってた。ずっと。別に、早くひとりになりたいと思ってたわけではないが。

私の父は晩年、母と軽い口論になったとき、たぶん酔っていたのだろうが「おれは今からでも、西成で、一人でやっていく!」と、どう考えても無理そうなことを言ったらしい。直接聞いたわけではなく、母が笑いながら話してくれたことだ。高齢で、病気もかかえていた父がどうやって・・・とだれもが思う。でも、わからないことはない。

最低限必要な小さな荷物で、知らない土地で始める新しい生活。みんなそれにあこがれるのに、荷物は増える一方で、どこにも行かないままなのだ。

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