映画観てきた

今日は「おみおくりの作法」を観てきた。
新聞連載の沢木耕太郎の映画レビュー「銀の街から」で知った作品だが、沢木耕太郎も言ってるようにタイトルは原題(Still Life)のほうがずっといいのに「おくりびと」ねらいみたいな邦題でなんか恥ずかしい。でも、とてもいい映画である。

水平構図の多用、室内も風景も、そしてテーブルに置かれた缶詰とトースト、果物といったメニューまで、色数を抑えてシンプルで美しい。色数といえば、全体を観た印象はモノトーンにちょっとだけ、水色や茶色などの色を加えた感じ。途中、フィッシュアンドチップスの店のある土地で、かわいい建物が並んだおとぎ話みたいにすてきな風景が映って「ほうっ」と思わされるのだが、その場面も、色彩はごくごくつつましやかなものだ。

主人公ジョン・メイは独身で、地味な中年男。公務員で、地方の「民生係」にいる。身元不明の死人が出ると、遺品からなんとか手がかりを探し、葬儀を営み、遺灰をまく。そんなにしなくてもいいと言われるくらい、きまじめな人なのである。
ジョン・メイひとりしか参列者がいない葬儀の場面がいくつか映される。そうなんだ。だれも葬儀に来ない、孤独死が増えているのは日本だけでなく、どこでもなのだ。とてもシビアな映画。だけど、最後はなんとなくほっとする。よかったな、とほっとするけど、でもぼろぼろ泣けてしまう。私だけじゃなく、場内あちこちからずるずる、ずぼっというすすり泣きが聞こえていたっけ。

写真は梅田のスカイビルで(またシネリーブルだった)。

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