いまごろ読んで

というわけで、この間の整理で発掘されたカポーティの「遠い声 遠い部屋」をいまごろ読んでいる。幸いというかなんというか、読んだのに忘れていたわけではなく、単に買ったまま(何十年も)忘れていたようで、すっかり紙は黄ばみ、今となってはやたら文字が小さいと思える文庫本を少しずつ少しずつ。

読むのが遅いのでもう少しかかりそうなんだが、そうこうしてる間に図書館から予約していた本が届いたとの知らせ。ある日本の作家の短編集で、おいとけばいいのにがまんできずに冒頭の1編を読んでみたら、「遠い声 遠い部屋」と奇妙にシンクロするところが多くておどろいた。どちらも子どもが主人公。事情があって遠くにいる父親にたったひとりで会いに行く──馬車が登場するところまで共通だ。

具体的な要素はともかく、思わず「文才」というきらきらした言葉が頭に浮かんでしまう文章もだ。凡庸な人間が気づかない微細な部分を察知し、すくいあげ、それを言葉に置き換える才が生まれながらに備わっている人たちが、この世にはいる。若いころ、そういう人たちに出会うたび「あなたの文章はわかりやすいね」としか言われたことのない私はどんなにかうらやましく、自分には小説なんか書く資格はないのだろうかと落ち込んだころがよみがえる(もちろん、わかりやすさと文学性が両立しないわけではない、と今は思っているが)。

そして、時代や空間を超えて共通する「子ども時代」というものの不思議。馬車に乗ったことがなくとも、アメリカに住んだことがなくても・・・。

と、そんなことを思いながらしょっちゅうぼーんやりしているせいで、ますます読むのが遅くなるのであった。

あ、「ある日本の作家」としたのは、どうもそのうち下手に影響されたものを書いてしまいそうで、そのときすぐに「あ、こいつ、○○○○のまねしてやがる〜」とばれたらいやだなと思って書いてないのです(はずかしいからね!)。

写真はこの間マクロで撮った花を、最近よく使う単焦点レンズで撮ったもの。

0219

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