月別アーカイブ: 2017年6月

映画と原作

映画「メッセージ」を観た&その後、原作(下の写真)も読んでみた。

前知識としては予告編とポスターから得られる程度のもの。突然、世界各地にばかうけが現れる(違うけど)。そしてタイトルが「メッセージ」・・・すると、何も知らないしろうととしては「は、はーん。各地に出現した宇宙船で世界中がパニックになって逃げ惑う人々の姿とか映って、でも一生懸命コミュニケーションを取ろうとするも戦争が始まってどうたらこうたらの映画だな」と思う。ていうか期待する。また「宇宙戦争」かい、とか。でもそんなことはなくて、とても知的かつ文学的な佳作だった。予想してたのよりずっと良かった。
良かったんだけど、根本のところでなんとなくわかったようなわからないような感じがあり、あの点は映画でははっきり描かれてなかったけど、どうなってるんだろう?と思うところもあって原作(テッド・チャン「あなたの人生の物語」)を読んでみたのだけど・・・むむむ、これ、かなり難しい。

私は理科系のセンス0で、それでも「憧れ」に似た感情をSFには持ち続けている。そういう人間にとってはけっこう読むのに手こずるものだった。本には8つの短編が収められていて、その1つなので100ページくらいだが、半日かかったぞ(汗)。

しかし、原作は原作、映画は映画だなとつくづく思う。根幹の部分は生かされてると思うが、(日本での出現地ということになっている)北海道のホの字も、大きな役割を果たす中国のチュの字も出てこない。ばかうけも柿の種も出てこないし、そもそも宇宙船(ではないんだけど)のスケール感が違う。なるほどなあ。映画化ってこういうことなのね。
今回、映画を観てたらなんとなく「プロメテウス」を思い出して、ヴィジュアル的にも好みだったが、そもそも原作はあまり映像的ではない。それがああなるんだよね。

で、どうだったかと聞かれたら、私も「良かった。好きです」と答えておけばいいんだろうか。

0604

「恋はやさし」続き

前回、「恋はやさし野辺の花よ」についてほんの少しだけ書いたときには、実は歌詞についてよくわかってなかった。というか勘違いしてたみたい(汗)
よく歌われている歌詞は下のようなものだ(1番だけ)。

恋はやさし 野辺の花よ
夏の日のもとに 朽ちぬ花よ
熱い思いを 胸にこめて
疑いの霜を 冬にもおかせぬ
わが心の ただひとりよ

ここの「夏の日のもとに 朽ちぬ花よ」というのを「夏の日のもとに朽ちてしまった花よ」と思った。そうか、日差しがきつくて、枯れてしまったんだな、かわいそうに・・・私も暑いのは苦手だし、わかる・・・と思ってた。前回リンクを張ったトワエモアの白鳥さん(いまだについ、そう思う)の歌い方も、なんだかとても無念そうだし。
でも、その後の歌詞がわかりそうでわからないので調べてたら、別の歌詞が出てきた。同じ小林愛雄さんという人の詞だそうだけど。

恋はやさし 野辺の花よ
夏の日差しにも あせぬ花よ
胸に一筋 燃ゆる思い
冷たき真冬の 霜さえ忘れて
ただ君をば 愛するのみ

ここには「夏の日差しにも あせぬ花よ」とある。意味が反対だ! 強い夏の日差しも全然ものともしない、強い花(つまり、愛)なのだ。「ぬ」は完了の助動詞ではなく否定だったのだ。なんとなく文語調なので思い込んでただけか・・・。
で、YouTubeでいろいろ聴いてみたら、白鳥さんみたいな歌い方をしてる人はあまりなくて、もっとはつらつと、明るく歌ってるほうが多い。そうだよね。これは「ボッカチオ」の中の一場面で、ヒロインが恋の予感を歌い上げるものだそうで(全然無知ですいません)、それならやたらしみじみ悲しげに歌う白鳥さんの歌いっぷりはちょっと違うのかもと、今頃思えてきたのだった。