何かを読んだり聞いたりしているうちああ、そうだ、あれはどうしたとか、これはどういう意味だったろうとか、あの人はこんなこと言ってたなと思ったり、次から次へと思い出し、そして気がつけば亡くなったひとのことをぼんやり思っていたりする。
雪の写真や映像を見ているうちに高村三郎さんのことを思い出した。若い頃お世話になった人たちのうちのひとり。五十代で亡くなられたけど、いまでもあの笑顔、口調は覚えている。岩手県雫石の出身で、小説も書くが俳句も若いうちからつくっていた。
雪しまき顔ふせ歩く子が来たり
雪の面をひくく這いゆく吹雪かな
雪降るや野に何もなし音もなし
(いずれも「春の泥」所収)
写真は岩手県じゃなく新潟で撮ったものだけど。