映画観てきた

といっても先月末。なんだかまたばたばたしていて遅くなった。ばたばたしてると「わー!」と叫び出したくなって気分転換に映画でも観るかと思っていくわけだけど。

観たのは「敵」。ひとことでいうと、あまりおもしろくなかった。これなら観る前から予想ついてたわ、と言いたくなった。予想を覆してくれる何かを期待していったのに。

それ以上になんだかもやもやと、いやな感じがあった。
原作は筒井康隆で、私は読んでいない。映画と原作は別物、と考えるべきだが、それでもたぶん、あの映画には筒井康隆の発想や好みが盛り込まれているだろう。それが、いまの私には「いやな感じ」のするものなのだ。今は昔の、昭和全盛期の文化・思想・風俗あれこれ。私は若くて、「こんなことはおかしい」とどこかで思いながら、一方で「これが大人の世界というものだ」と、まじめにその世界の作法を覚えようとさえ思っていた。なんとはずかしい時代だ、今となっては。忘れたいそんな時代を思い出させる。

むかし、夢中になった吉行淳之介の作品にもそういうところはある。
とはいえ、吉行の作品のいくつかはそんなことを考慮しても名作だろうし、文体の完成度、美しさはもろもろの雑念、外野の声を取るに足りないものとするだろう。筒井康隆だって一部の純文学ぽいのはあまり好きじゃないが、稀有な作家であることは間違いない。昭和なものをああだこうだとけなしたくなるのは単に、私自身が、昭和がなつかしいなどとは言いたくもない昭和のおばはんだからだ。

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