田尻歴史館と「わらばい」

田尻歴史館は南海本線「吉見の里」駅から徒歩数分のところにあります。現在は地元、泉南郡田尻町の所有ですが、元は実業家谷口房蔵という人の別邸として大正時代に建てられたものだとか。府の有形文化財になっている、レトロな味わいのある建物ですが、ここで開かれているグループ展を見に行ってきました。

展覧会は「5人の世界展」というタイトル。この建物の5室を使っていて、つまり一人1室。私の友人Kaさんもそのひとり。彼女は水彩画を出品。ほかの4人は陶芸2人、色鉛筆画1人、そして小物やアクセサリーなどカラフルな雑貨が1人という内訳。下はKaさんの部屋。

下は色鉛筆画のNさんの部屋。ステンドグラスがあちこちにあしらわれている素敵な建物で、この写真はそれがよくわかるかな。

陶芸の2人は和室で。
作家5人はいずれも女性。訪れる人も女性が多く、そのせいか話し声、笑い声が絶えず、とてもにぎやか(笑)。
上の写真は陶芸作家・Yさんの部屋。Yさんはしろうとの私の質問にも丁寧に答えてくれたのですが、その中で思いがけず「わらばい」という言葉が。
わらばい。ああ、知ってる知ってる、中原理恵の東京・・・違います、それは「ララバイ」。「わらばい」です。わらを燃やした灰。

子供の頃、わらばいが嫌いだったのです。
うちは仕事の関係で藁縄がすぐにたまりました。黄色っぽいわらをざっくりと撚ったものです。藁縄がだいぶたまると、まとめて燃やしました。火鉢を使っていたころですが、火鉢にその灰を入れるのです。
ふだん火鉢に入っている灰は細かくさらさらした灰色の灰(そのまんま・・・)ですが、わらばいは真っ黒。青みがかって見えるほど、ほんとに真っ黒なんです。そしてわらの形状を保っています。火鉢に寄ると、その黒々とした蛇のような灰を間近に見ることになり、それがなんだかまがまがしい眺めで、いやだったのです。日が経つにつれ、わらばいはもとの灰になじんで、いつのまにかすっかり灰色になってるのですが。

今回、陶芸家のYさんが作品を手にして「この部分はわらの灰、わらばいを混ぜた釉薬を使ってるんです。するとこんな乳白色になるんです。わらの灰は真っ黒なんですけどね」と説明したので驚きました。あのわらばいが! 目の前の作品のその部分は本当に美しい、とろりとした乳白色。
陶芸って不思議な世界なんですね。

作家さんといろんな話ができて楽しいひとときでした。

館内にはレストランもあり、そこでお茶して帰りました。

田尻歴史館と「わらばい」」への2件のフィードバック

  1. らんぷ

    素敵なところですね。
    作品を残すと言うのも凄いエネルギーのいる作業だと最近つくづく感じます。
    私より年上の友人がこの3月に芸大(通信制ですが)を卒業して、その卒展を見に行って
    頭殴られるくらいの刺激を受けています。
    久しぶりに映画館で映画を観たし、さて私は何をしたら良いんだと思案中です。

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