高校の同窓会の関係で、しばらく校歌について調べたりした。
私の卒業した高校は旧制中学校から戦後に共学の高校になった。私が親しんでいたのはもちろん、新制高校の校歌で、旧制中学校時代の校歌は聴いたことがなかった。戦前(1937年制定)だし、男子だけの旧制中学校の校歌となると、なんだか男臭く、ぼきぼきした感じの歌を想像してしまう。
ところが、おそるおそる聴いてみると意外とやさしいメロディで親しみやすく、また、いま聴いても別に違和感ない。へー。
ついでによその学校の校歌をいくつかネットで聴いてみたりする。母校では新制高校になった翌年、校歌も新しくなったのだが、戦前からの校歌をそのまま、あるいは歌詞の一部を変えたりして今も使っているところも珍しくない。そういうのって、100年くらい前の歌だったりするわけだけど、やはり、聴いてみると「ふつう」なのだ。特に古臭いわけでもなく・・・・・。そこで、はたと気がついた。違うやん。昔の校歌が「今聴いても古さを感じない」のは、校歌の世界が変化がなさすぎるのだ。考えたら、だいたい歌詞が今も文語であることが多く、それこそ古臭いわけだけど、そんなもんだと思ってしまってる。
100年前、80年前、70年前の流行歌だと、さすがに今聴くと古すぎるけど、校歌の世界はやはり歌いやすく、親しみやすい、基本に忠実で冒険の少ない世界なのだろう。それと、流行歌は歌詞やメロディだけじゃなく歌い手の個性あってのもので、それはあっという間に消費されたりするけど、校歌はそうじゃないしな。
と、YouTubeをさまよっているうち、今度は市とか県の歌がおすすめに出てくるようになった。それでなつかしくなるのが大阪市の歌だ。
子供のころは大阪市に住んでいて、学校では習ったことがなかったが、父がよく大阪市の歌を歌ってたので、なんとなく覚えていた。でも、父はひいきめにみても歌がうまいとはいえず、何を歌ってもふわ〜っと、軽いというか弱いというか、気の抜けたようになってしまう人だった。大阪市の歌も子どもの私は、印象的な「民のかまどに立つ煙」という歌詞もあって、いい歌だなと思っていたが、「なんとなくさびしげな歌だな」と思っていた。哀愁を帯びたメロディ、みたいに思っていたかも。
ところが、YouTubeで聴いてみると、全然違う。「民のかまどに立つ煙」のところで、ドドドドドド!と盛り上がり、シンバルがジャーンと鳴り「にぎわいまさる大阪市〜」でさらに上がり調子になり、最後なんか合唱も楽団もこれでもかというくらい力が入って、超パワフルな歌になっている。
おとうちゃんの歌ってた歌と全然違う・・・・
歌は演奏者によってまったく別物になるのだと知る。